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コラム
 

第7回「バイオ燃料を考える」

 2008年1月9日の朝日新聞の記事に、私は心が躍りました。
 「新エネルギー覇権争い」という見出しです。
 アフリカでは今、ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ=Jatorophaヤトロファとも読む)を栽培し、バイオ燃料を生産しようとしている、というものでした。その経済効果が大きく、豊かなアフリカが期待できるというのです。
 私は、ケニアで20年前にこの植物を知り、名前にアブラがついているわけを知って以来、ずっと気になっていました。そして、エネルギー問題がもちあがった頃に、インドネシアで既に油を抽出し、実験的にエンジンを回している現実を見たのです。

ジャトロファ

 トウモロコシなど農産物がバイオ燃料として騒がれ始めた時、私は、こんなことは持続しないと直感しました。数年前、ドイツにエコライフ視察に行った知人が「ドイツではナタネ油で車を動かしていた。」と意気揚々と話すのを聞いて、私はあきれかえりました。一体、そのナタネ油はどこから来るのか、ディーゼル車なら動くのは当たり前、と話したことを憶えています。
 その直後のこと、食糧問題とエネルギー問題が拮抗する事態が明白になってきました。それもこれも、もとを見れば、利益に結びつく経済行為が優先していることを、私たちは見逃してはいけないのです。

 私がジャトロファに注目していた理由は、栽培がしやすく、荒れ地で育つ、食料にはならない植物だからです。アフリカのサバンナで見た時に、これは荒れ地回復利用に最適だと思いました。
 ところが、経済活動は、そんなあまっちょろいものではないようです。
 朝日新聞は続けています。
 『農地をつぶしてまでジャトロファを植えようとしている』と。
 新聞にもあるように、アフリカの多くの国での主食はトウモロコシです。農地も減り、トウモロコシもなくなったら、何を食べてゆくのでしょう。ただでさえ食料が足りないアフリカ。
 問題は深刻です。

 これを日本に置き換えてみてください。米や麦が燃料に変われば、私たちは何を食べてゆけばいいのでしょうか。
 日本の食糧自給率は40%を下回りました。言い換えるなら、食料不足日本なのです。
 アフリカと何ら変わることはありません。

 人間の食料を奪ってまで、機械を動かす必要はありません。特にそのエネルギーの多くが、先進国といわれている国々で経済活動のために使われているとすれば、人道的にも許されないことです。
 朝日新聞は、こう締めくくっています。
 『バイオ燃料はアフリカ諸国にとって「祝福」にも「呪い」にもなりうる』

 エネルギー問題が、食糧問題を加速させる現実。この大きな問題を解決するために、生活をどうするべきかを考える時にきています。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

 
 
 
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