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コラム
 

第20回「アナログ復活」

 私は音楽が好きで、休みの日には一日中聴いていることがある。一番好きなのは、アメリカの古い音楽、それにクラシックや唱歌、民謡なども聴く。音源は今では大半がCDだが、CDの音に「疲れる」と、レコードをかけることにしている。

 CDの音に疲れを感じたのは、もうずいぶん前のことだ。同じ曲をレコードと聴き比べると、まるで別もののように聞こえたのだ。
 レコードの音は暖かく、心地よさも感じられる。CDの音ははっきりとしているが、とがったような、神経に触るような部分も感じた。気のせいだ、とか、偏見だ、と言われそうだが、聴き比べると確かに違う。

 そんなことに気がついた時、偶然にもNHKの教育番組で、千葉大学の先生がインドネシアのガムラン音楽の長所についてお話をされていた。ガムラン音楽には、人間にとって一番大切な「脳幹」を刺激する音がある、というのだ。
 放映されたのがずいぶん前のことなので、私の記憶は曖昧だが、簡単にご紹介しておこう。
 脳幹は、人間にとって最も重要な部分である。人間の意識を制御し、生命を維持しているのも脳幹である。(インターネットにも詳しく出ているので、お読みになることをお勧めする。)
 脳幹は、外部からの様々な刺激により影響をうける。
 デジタル化された音は、人間に聞き取れないような高音部と低音部をカットしている。このカットされた部分こそ、脳幹に刺激を与える音だという。ということは、デジタル音ばかり聞いていると重要な刺激を与えられなくなる、ということにつながる。
 それに対し、ガムラン音楽は音の領域も広く、脳幹を十分に刺激してくれる要素を備えているという。ガムラン音楽に限らず、アナログの音は非常に重要だ。
 私の記憶に間違いがあるかもしれないが、概要はこのようなものであった。

 私はインドネシアが好きで、これまで70回以上訪問しているが、現地で生のガムラン音楽を聴いていると、心地よさに加え、聞こえていないはずの音に酔っている自分を感じる。何よりも、聴き終わった後が心地よい。まるで、寝心地の良い布団の中で、温まっているような気分になる。
 この番組を見終え、レコードの音の心地よさがどこから来ているかがわかるような気がした。

アナログの音は、レコードで簡単に聴ける。

 生演奏を聴くために演奏会に頻繁に行くことなどは時間的経済的に大変だが、家でレコードを聞くのは意外と簡単だ。特に古いレコードは安いし、プレーヤーだっていくらでも売っている。
 ガムラン音楽に限らず、生の音楽(アナログ音楽)を聞くことにより、より一層、情緒ある子供が育つのではないか、また、荒れ狂う気持ちも抑えられるのではないか、と私は信じている。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

次回更新は、2009年7月30日頃の予定です。

 
 
 
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