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コラム
 

第22回「こけおどしの前置き」

 毎日、習慣のようにニュース番組を見る。日本も世界もあまりにもひどい状態に、ほとんど怒り狂う毎日だ。
 ニュースは現実として正面で向き合うべきものだが、いわゆるニュースキャスターの言葉の使い方には、別の怒りを感じニュースどころの話ではなくなることがある。
 思わず耳をふさぎたくなることすらある。
 このところ耳に付くのはすぐに本題に入るのではなく、ニュースのさわりに「あの・・・」、「うわさの・・・」などといいながら、視聴者を引き付けるための思わせぶりな言葉を多用することだ。
 民放ではさわりと本題のあいだにコマーシャルが入ったりする。その間、視聴者をつなぎとめておきたいのか、あるいは本題を強調したいがためなのか、あまりにも姑息な手段だ。
 いざ本題に入ると、あの思わせぶりな表現とはうらはらに、どうでもよいようなお粗末な内容を見せつけられる。前置きは単なる「こけおどし」にすぎない。
 これは言い換えれば表現力の不足、物事に対する理解の幼稚性から来ているに違いないと私は思っている。
 視聴者を引き付けて行く進め方や、展開、表現が力不足としか言いようがない。全体で考えるのではなく、切り貼りするように手短な言葉でごまかしているに過ぎない。
 こんな表現や展開はいつごろから始まったのか。
 すくなくとも10年前にはそれほどひどくはなかったように思う。
 人の心が衰退していると「おおげさに」言いたくなる現象だ。
 こけおどしの表現などニュースには必要がない。毎日毎日同じことを繰り返すニュース番組関係者やキャスターの良識を問いたくなる。
 もっと別の方法で人の心に沁み入るような表現を模索してほしいものだ。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

 
 
 
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