![第23回「個人海外旅行のコツ(1)[感染症から身を守る]」](img/stitle_no023.gif)

個人で海外旅行をしようと思っている方のために気がついたことを数回に分けて書くことにする。
海外旅行で一番怖いのは事故と病気だ。
事故は避けようがないこともあるし、注意の仕様がないというところだが、よほどのことがない限り、事故に巻き込まれる可能性があるような危険な場所は避けるべきだ。
病気に関して、一般書にも書かれていることはおおむね正しく、それを守っていれば少なくとも病気の危険性はかなり減る。要は、生水,氷,生ものを食べない。睡眠を十分に取る。 暴飲暴食をさける。
ハードスケジュールは組まない。 などだ。
私は取材のために一年の半分ほどを海外で過ごしている。虫や花を撮影するので、行く場所は厳しい自然環境、劣悪な衛生状態のことも多い。
しかしこの20数年で病気(感染症)にかかったのは一度だけだ。
テレビの撮影で数人と旅をした時に、私以外が全員、感染症にかかったことがあった。手伝いの現地人もかかってしまい、私一人で撮影を続けた記憶がある。
私はほかの人よりも免疫力が強いのか、それとも鈍感なのかわからないが、体がそれほど強いとは思っていない。現地でも特に注意してはいない。
たった一度の病気体験を思い起こしてみると、かかってしかるべきという状態であったと思う。
その時は、タイとマレーシアの国境の森で、巨大花ラフレシアの取材をしていた。宿泊は現地の人の家。
寝具もなく硬い床の上にごろ寝、食事はインスタントラーメンばかり、寝具もなく夜は寒さで震えていた。体力が日に日に消耗してゆくのがわかった。
昼にジャングルに入ると僕のまわりはまるで霞がかかったように蚊の大群がまとわりついてきた。
そのなかで花の撮影をした。
約2週間の滞在を終え、帰国の飛行機のなかで体の変調を感じた。
気になるほどではなかったが、数日後、突然40度近い高熱がでた。
慈恵医大で診断の結果「デング熱4型」であることが判明。治療薬がない感染症のため、ひたすら我慢すること10日間。高熱と、体中を虫がはいまわるような不快感が続いた。
2週間目に体中に皮下出血の斑点がみられ、改善に向かった。
海外での感染症の多くは死に至るものが多く、治療薬がないものもある。デング熱もそのたぐいだ。
一般書に書かれた注意書きのなかでも、睡眠が十分に取れるように努力すること、食事をちゃんととること、の二つが罹病しないためにとくに重要だと感じた。羽目をはずしたい海外旅行だが、平静心を忘れず、わずかに心のブレーキをかけておくのがコツといえる。
特に私が大切にしていることは、仕事が終わったら早めに一人の時間を過ごすように努力すること。平常ではない生活のなかで自分の体と心を取り戻すためだ。
神経質にならない。恐れすぎない。などが感染症を防ぐために必要だ。
また手を洗うことが意外に大きな意味を持つことを忘れてはいけない。
一人で海外を旅するうえで大切なことは、日ごろからの心構えと緊張感だ。
文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進 |