
「エディブル・フラワー」などとおしゃれな名前を付けて、花を食べることがはやっています。多くは外国の花、バラ、パンジー、ハイビスカス、ラベンダーなどですが、熱帯地方ではバナナの花、豆の花などが広く食べられています。
見た目の美しさに加え、ビタミン、ミネラルが豊富なことなどが利点でしょうか。
日本にも伝統的なエディブル・フラワーがあります。
それが食用菊です。山形県が産地としてよく知られています。品種としては黄色い「黄菊」があり、10月の初めごろから出荷されています。一足おそく出てくるのが「もってのほか」で、これはむらさき色。個人的には「もってのほか」が歯ざわりがよいので好きです。
古い話ですが、私が少年時代を過ごした昭和半ばに、母が食用菊の酢の物を作ってくれました。子供の私には何でこんなものを食べるのか理解できなかったのですが、今になってみると、あのあざやかな花の色が貧しい食たくを豊かなものに変えてくれた気がします。
このことを思い出しながら、野にある菊が食べられないものかと次つぎと花をむしって口に入れてみました。大失敗です。どれもこれも口が曲がりそうになるほど苦くて食べることができませんでした。この苦い菊の仲間から、食べられる物を探し出した知恵には頭が下がります。季節を感じながら、美しい花をちょっとつまむ、こんなに素敵なことはないと思います。
食用の花は薬などを使わずに育てられたものです。切り花などは薬が付着している場合が多いので食べないようにしてください。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進
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