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コラム
 

第28回「海の日・山の日」

 7月の第三月曜日が「海の日」だ。「海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う日」という意味があるらしい。
 日本は海洋王国だが、他方「山の国、森林の国」でもあることを忘れてはいけない。森林の割合は国土の約67%。これほどの森林をもつ国は北欧のフィンランドとスウェーデンしかない。
 熱帯アジアやアマゾンなども森林が多い地域だ。しかし開発が進み、空から見ると国土の一部に残るだけだ。海外から日本に帰って来たときに、空から見る一面の森林と山に深い安堵感を覚える。しかし、その緑のすべてが自然とは言えないのが残念だ。
 海と山が有機的につながっていることは漁業関係者からの意見として頻繁に聞かれる。つまり海の魚は山からの有機的な栄養で育つというのだ。それを理解していた人々は、古来、「魚つき林」として大切にしてきた。ところが、近年、伐採、ダムや護岸などのために森林と海との結びつきが壊れ、その結果として栄養不足、酸素不足の海になり、漁獲は当然減ってきた。
 つまり山あっての海なのだ。特に近海漁業が盛んな日本では、森林と海の有機的な寸断は致命傷になっている。
 先日、作曲家の船村徹氏のインタビューを聞いていたら、図らずも船村氏が「海の日があるんだから、山の日もつくるべきだ」と提言されていた。私は思わず拍手を氏に送った。
 山からの水は水道の水とは全く別のものだ。山からの水は落ち葉や土の間を通り抜けてきた栄養豊富な水なのだ。
 私は早く「山の日」をつくるべきだと思っている。記念日をつくったから、といって、何かが変わる訳ではない。しかし毎年その日が来るたびに「山と森林」のことを思い出すだけでも意義が大きいと思う。環境問題にとっていちばん怖いのは「無関心」「無意識」なのだ。

写真:山から川へ、そして海へと水が流れる。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

 
 
 
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