もっと知ろう!ジャポニカ学習帳
もっと知ろう!ジャポニカ学習帳 山口先生のジャポニカ探検隊   教えて!山口先生   コラム もっと知ろう!ジャポニカ学習帳
もっと知ろう!ジャポニカ学習帳
 
コラム
 

第29回「マキ作り」

 我が家の暖房はマキストーブ、1階に置いてあるストーブで家中の部屋が暖かい。標高700mにある我が家は、真冬になると零下10℃ぐらいまで下がることがある。しかしマキストーブのお陰で家の中はTシャツ1枚で過ごすことができる。
 木々が休眠している1~2月がマキ作りに好都合だ。しかしひと冬分のマキの量は膨大で、作るのに2週間以上かかってしまうが、あの暖かさを考えるとやめるわけにはいかない。
 マキ作りでいちばんの問題は木を切らせてくれる林があるかどうかだ。放置されているように見える林も、必ず所有者がいるので、勝手に切ることはできない。いつもアンテナを張っておいて、切らせてくれるような林があれば地権者と交渉する。代価を払うこともあるが、重要なことは伐採後、林をきれいに片づけておくことが義務でもあり礼儀でもある。
 マキとしてマツやスギなどの針葉樹は、燃えるときに高温を出すためストーブを痛めてしまいあまり使うことができない。また田舎ではクヌギやコナラなどの広葉樹はキノコ作りにも使うために、なかなか手に入りにくいものだ。
 林を伐採すると環境破壊だと思われる方もいらっしゃるかもしれない。ところがそれは全くの間違いだ。昔は雑木林をいつも切って利用していた。林は気持ちよく、生き物がたくさん生活していた。時代が変わり林の活用ができなくなった今、放置された林は荒れ、生き物がすめなくなった。切られずに伸びるだけ伸びた雑木は老化する一方で、樹液も出さなくなる。
 里山の基本は雑木林だ。木を切り若返らせること(更新する)ことが不可欠なのだ。そんな林は太陽もよく当たり、風が通り抜け、快適な生き物環境になる。
 最近もうひとつ大きな問題が起きている。放置雑木林に追い打ちをかけるようにハリエンジュ(ニセアカシア)が侵入してきた。
 ハリエンジュはアレロパシーと言って、ほかの生き物に影響を与える化学物質を出して、ほかの木を枯らしてしまう。
 ハリエンジュについてはまた機会を改めて書きたいと思っているが、まさに厄介者の移入樹なのだ。私はハリエンジュをせっせとマキにするが、アレロパシーは人間にも効くのか、伐採した後は必ず具合が悪くなる。遠からず日本の自然はハリエンジュに占拠されるかもしれない。
 それはそうとしてマキストーブは経済的には決して安くはない。マキを作るために使用する道具が半端ではない。チェーンソウやウィンチを揃えると、かなり高額な費用がかかってしまう。また伐採には相当の危険を覚悟しなくてはいけない。
 心地よい暖かさ、電気や灯油を使わない、それに何と言っても揺らめく炎を見ると心が安らぐ、というのが大きな慰めだ。

写真:これで、約1カ月半ストーブが炊ける。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

 
 
 
ページトップに戻る