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コラム
 

第30回「サクラと入学式」

 4月、華やかな季節がまた巡ってくる。
 この時期、新しい世界に入る子供たちの期待や不安、そして子供の成長を見る親の誇らしさは格別のことだろう。
 新しい世界をより華やかに演出してくれているのが、サクラではないだろうか。
 「サイタ サイタ サクラガサイタ・・」この一文はその時代を知らない人でも聞いたことがあると思う。調べてみると昭和9年に使われた国語の教科書に掲載されたものらしい。昔からサクラは日本人に好まれ、ソメイヨシノという品種がつくられてからというもの、あっという間に全国に広がった。
 それはともかく春にサクラは欠かせない花となっている。
 今年から気象庁が開花予報を廃止したらしいが、開花情報で大騒ぎすること自体、ちょっとオカシイぞ、と常々思っていた。花を見る喜びは、その美しさはもちろんのこと、季節感や偶然性などが相まって、さらに大きくなるものではないだろうか。今日か明日かと待ち受けて花を楽しむのは、日本人の繊細な心やわびさびの心と相反しているように思えてならない。
 思いがけず花を見つけたときの喜びは大きい。花は自然のもの。花を見る心も自然であって欲しい。
 私が小学校に入学したのは秋田県の男鹿半島にいたときだ。北国秋田はちょうどサクラの季節を迎える。サクラ満開の中、母に手を引かれて入った小学校の校庭が今でも鮮明に記憶に残っている。
 日本の入学式は4月の上旬に行われる。じつは入学式とサクラの開花時期が一致する地域はかなり限定されている。四国九州では3月半ば、関東地方では開花が3月末・・・とわずかに早い。また青森などは4月の末に開花する。
 入学式の時期とサクラの開花時期が一致するのは長野、新潟、岩手、福島、秋田などに限られる。ということは、私はたいへん幸運だったのだ。
しかしこのところ温暖化のためにサクラの開花が1週間ほど早まっているという。温暖化がこのまま続けば青森辺りでサクラの入学式を迎えることができるかもしれない。

写真:これで、約1カ月半ストーブが炊ける。

文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進

 
 
 
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