
ベネズエラのギアナ高地には道がなく、船なしではどこにも行けません。
ある日、船をかり切って、花をさがしに出かけました。ギアナ高地は、がけがすい直に切り立つ台地がそそり立ち、その間を川が流れています。上陸しようにも、船を着ける場所がかぎられます。できるだけ陸に近いところを通ってもらいながら、花をさがすのですが、かん単には見つかりません。
出発してから2時間後、休けいをとるために船を陸に着け、上陸しました。そこは、ジャングルがとぎれ、がけが丸見えになっています。クッキーをかじりながら、けわしいがけのとちゅうをながめると、見たことのない花がさいています。しかし、近よってさつえいするのは、むずかしそうです。
けれど、その花はあまりにも美しく、ぼくはあきらめきれませんでした。
そこで、船頭さんに相談すると、「あんなの、かん単さ。」と言います。かれは、船底からロープを出してきて、するするとがけによじ登り、大きな木にロープのはしを結びつけ、「さぁ、だいじょうぶ。これに体を結んで木に登り、さつえいしろ。」と言うのです。
「えっ、そんなきけんなことを。」とぼくがしりごみすると、船頭さんは、ぼくにロープをまきつけ、おしりをおして、木に上げようとするのです。
7mほど登ってみて、その花の正体がわかりました。ギアナ高地の入り口で見た、真っ赤なクルシアの花の、色変わりだったのです。
下を見ると、茶色の川が波を立てて流れています。落ちたら最後、あの流れの中にほうり出されてしまいます。それに、ぼくは泳げません。「今、ここから落ちたら、助からないぞ。」
ぼくは必死でカメラを出し、立て続けにシャッターを切りました。

せいも根もつきたかのような、クルシアの花のさつえい。その日の午後は、当然、昼ねを決めこみました。
文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進 |