
何年か前にタイの山に住む人たちといっしょにお正月をむかえたことがあります。
お正月が近くなったころのこと、仲良くなった少年が一生けん命何かを作っていました。
何を作っているのかわからないので横で見ていると、ぼくに「タイヤの代わりになるものは何がいいのですか」と聞いてきました。ぼくは周りを見わたして、転がっていた丸太を指差して、あの木を切ったら、と教えてあげました。
少年はのこぎりを持ち出して丸太を切り、上手に車輪を作ったのです。
それから二日ほどして少年はゴーカートのような乗り物をひとりで作り上げたのです。
ぼくはおどろきました。
少年はさっそく坂道で自作のゴーカートに乗り、勢いよくすべり降りたのです。ところが車輪がはずれたり、まっすぐにすべらなかったのです。それから何日かの間、少年はひとりで悪いところを直し、試しすべりをしながら改良していました。そしてぼくに見せ、目の前ですべってみせたのです。
木となわでできたゴーカートは坂道を自由自在に勢いよくすべり降りたのです。思わず拍手をしてしまいました。
自分の遊び道具を自分で作ることでいろいろなことを考えることができます。
見事にすべり降りた少年の顔はかがやいていました。
文・写真:ジャポニカ学習帳「世界特写シリーズ」取材班 山口 進
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